心理的安全性とは?

会議で「何か意見や質問はありますか?」と問いかけたとき、メンバー全員が下を向いて黙り込んでしまう……。

そんな重い空気に悩んでいるリーダーは少なくありません。
「うちのメンバーは主体性がないのだろうか」とガッカリする必要はありません。
実は、意見が出ないのはメンバーのやる気や能力のせいではなく、その場を支配している「職場の空気」が原因かもしれません。


今回は、最近よく耳にする「心理的安全性」という言葉について、難しい理論を使わずに分かりやすく紐解いていきます。

心理的安全性とは

一言でいうと、

「この職場なら、分からないことや自分の意見を安心して言える」

という感覚のことです。
ただし、心理的安全性は「何を言っても許される」という意味ではありません。よくある誤解として「お互いに気を遣い合う、ぬるい職場」だと思われがちですが、それは違います。ただ優しいだけの職場は、言いたいことを我慢する「ぬるま湯」になってしまいます。 本当の意味での安心感がある職場とは、お互いの人間性をリスペクトした上で、良い仕事をするために「それは違うと思います」「もっとこうしませんか?」と、ためらわずに本音をぶつけ合える職場を指します。

なぜ会議で意見が出なくなるのか

会議で人が黙ってしまうとき、頭の中では「4つの心のブレーキ(不安)」が働いています。


「こんなことも知らないの?」と思われるのが怖い(だから質問できない)
「仕事ができない奴」と思われるのが怖い(だから自分のミスを隠してしまう)
「会議を長引かせる邪魔者」と思われるのが怖い(だから周りに合わせてしまう)
「あいつはいつも否定ばかりする」と思われるのが怖い(だから問題点に気づいても言わない)

人は誰しも、職場で「ダメな人」「面倒な人」だと思われたくありません。そのため、少しでも責められる危険を感じると、自分を守るために「黙っているのが一番安全だ」と脳が判断してしまうのです。

意見が出ない職場で起きる問題

「言えない空気」を放置すると、会社にとっては致命的な大ダメージに繋がります。


航空・宇宙などの重大事故を調査すると、事故につながる異常や問題が、事前に現場で認識されていたケースがあります。しかし、

「ちょっとおかしいな」と思ったけれど言わなかった。
「前にも言ったけど聞いてもらえなかったから、もう言わない」

そんな小さな「言わない」が積み重なって、大きな問題につながることがあります。


身近な職場でも同じです。言えない職場では、

「ミスやクレームが隠され、手遅れになってから発覚する」
「同じ失敗を何度も繰り返す」
「新しいアイデアが生まれにくく、古いやり方にしがみつく」

という問題が起こりやすくなります。

心理的安全性を高めるためにできること

では、どうすればこの空気は変わるのでしょうか?

まずは、リーダーの「返事(言葉と態度)」です。


特に大切なのが、部下がミスをしたときや、悪い報告を持ってきたときの最初のリアクションです。

「なんでそんなことしたんだ!」と犯人探しを始めると、職場の空気は一瞬で凍りつきます。 問題が起きたときは「誰のせいか」を責めるのではなく、「どう解決するか」という未来の対策に全員の目線を向けること。これだけで、現場は問題を報告しやすくなります。

今日から実践できる具体的な方法

今日からでもすぐに使える、2つのシンプルなコミュニケーション技法をご紹介します。


① トラブル報告には、まず「ありがとう」を先に出す
悪い報告や耳の痛い意見を出してくれた人に対して、まずは「言いにくいことを、すぐに教えてくれてありがとう」と感謝の言葉を返します。
この最初の「返事」が、周りのメンバー全員に「ここでは悪いニュースを言っても安全なんだ」という強力なサインとして伝わります。


② 「Yes, And(受け止めて、乗せる)」で会話する
相手の意見に対して「でも(But)」と否定から入るのをやめましょう。 まずは「なるほど、面白い視点だね!(Yes)」と一度受け止め、その上で「じゃあ、さらにこうしてみたらどうかな?(And)」と自分の意見を乗せていきます。
自分の意見が一度受け止められたと感じることで、メンバーは次の発言がどんどんしやすくなります。

office HOMIの考える「言える職場」

恐らく、「それができれば苦労しないよ……」と思われるかもしれません。

実際、その通りです。

「ありがとう」と言うことは簡単でも、トラブルが起きたときに冷静に受け止めたり、相手の意見を否定せずに聞いたりすることは、そう簡単ではありません。

だからこそ、心理的安全性は、リーダー個人の頑張りだけでつくるものではありません。

「なぜ、この職場では意見が出にくいのか」

「どうすれば、もっと安心して話せる職場になるのか」

職場全体で考え、少しずつ変えていくことが大切です。

もし、「それができれば苦労しないよ……」と思われたとしたら、まずは「自分たちの職場では、なぜそれが難しいのだろう?」と考えてみてください。

そこに気づくことが、職場を変える最初の一歩かもしれません。

office HOMIは、メンバー全員が安心して力を発揮できる「言える職場づくり」をサポートしています。
他人の心や性格を変えることは、簡単にはできません。 しかし、自分が相手に与える「返事(言葉・態度)」を今この瞬間から変えることは、誰にでもできます。
失敗やミスを「叱る対象」として隠すのではなく、チームがもっと良くなるための「貴重な情報」として受け止める。

そんな「言える職場」を、少しずつつくっていくことが、心理的安全性を高める第一歩なのではないでしょうか。

office HOMIでは、「人が力を発揮できる職場づくり」を、心理的安全性や仕事の仕組み、IT・AI活用などの面から支援しています。

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