【組織づくりの処方箋 第7回】「互いを認め合う文化」はどう育つのか? 心理的安全性の高い組織づくり

前回の記事では、「最近の若い社員は、自分から動かない」という声を取り上げました。

若い社員が自分から動かないのは、本人の意識や能力の問題なのでしょうか。

それとも、自分で考え、判断し、行動する機会が十分に与えられていないのでしょうか。

もちろん、本人に成長してほしいという思いがあるからこそ、そうした声が出てくるのだと思います。

ただ、ここで少し考えてみたいことがあります。

私たちは、若い社員をどのような目で見ているのでしょうか。

経験が浅いから、まだ分かっていない。

自分から動けないから、主体性が足りない。

自分たちの若い頃と比べると、物足りない。

そんな見方をしてしまうことはないでしょうか。

経験が違えば、できることに違いがあるのは当然です。

しかし、経験が浅いことと、劣っているように見えることは違います。

自分たちが知らないことを知っているかもしれない。
自分たちとは違う視点から、物事を見ているかもしれない。
今まで当たり前だと思っていた仕事のやり方に、疑問を持っているかもしれない。

相手の足りないところばかりに目を向けていると、そうした可能性に気づけなくなってしまいます。

これは、若い社員に限った話ではありません。

社長と社員、上司と部下、先輩と後輩。

立場や経験が違う相手に対して、知らず知らずのうちに、自分の方が分かっている、自分の方が正しいと思ってしまうことはないでしょうか。

リスペクトとは、相手を認めること

そこで考えたいのが、リスペクトです。

リスペクトというと、相手を敬うことや、礼儀正しく接することを思い浮かべるかもしれません。

もちろん、それも大切です。

でも、私はそれだけではないと思います。

自分とは違う考え方を持つ人がいる。自分にはない経験や知識を持つ人がいる。

そして、自分には理解できない考え方にも、その人なりの理由があるかもしれない。

そう考えて、相手の話を聴いてみる。

自分の考えと違っていても、すぐに否定せず、なぜそう考えるのかを知ろうとする。

それも、リスペクトの一つではないでしょうか。

相手の意見をすべて受け入れる必要はありません。仕事ですから、意見がぶつかることもありますし、時には判断を下さなければならないこともあります。

それでも、意見が違うことと、相手を否定することは別の話です。

相手を認めると、見えるものが変わる

例えば、社員が社長とは違う意見を出したとします。

「それは違うだろう」と、すぐに否定することもできます。

一方で、「なるほど、どうしてそう考えたの?」と、話を聴いてみることもできます。

話を聴いたからといって、必ずしも相手の意見を採用する必要はありません。

それでも、自分には見えていなかったことに気づくかもしれません。

現場で働く社員だからこそ知っていることもあります。長年の経験がある人だからこそ気づくこともあれば、経験が浅い人だからこそ疑問に感じることもあります。

自分とは違う考え方の中に、新しい発見がある。

そう考えると、意見の違いも、悪いことばかりではありません。

これは、社長と社員に限った話ではありません。

社長にも社長の考えがあり、社員には社員の考えがあります。上司には上司の責任があり、部下には部下だからこそ見えるものがあります。

お互いの立場や考えを知ろうとすることで、初めて理解できることもあるのです。

リスペクトは、一方通行ではない

リスペクトというと、上司が部下を尊重することや、社長が社員の意見を聴くことを思い浮かべるかもしれません。

もちろん、それも大切です。

でも、リスペクトは一方通行ではありません。

社長が社員を尊重する。同時に、社員も社長の立場や考えを理解しようとする。

上司が部下の意見を聴く。同時に、部下も上司がどんな責任を負っているのかを知ろうとする。

どちらか一方だけが相手を理解しようとするのではなく、お互いに相手を知ろうとすることが大切なのだと思います。

もちろん、立場や権限が同じになるわけではありません。最終的な判断をする人もいれば、その判断に基づいて仕事を進める人もいます。

それでも、立場が違うからといって、相手を軽く見てよいわけではありません。

それぞれの違いを認め、一人ひとりを大切な存在として接する。

そんな関係を築いていきたいものです。

笑顔が集まる職場をつくりたい

職場には、いろいろな人がいます。

人前で話すのが得意な人もいれば、じっくり考えるのが得意な人もいます。新しいことに挑戦したい人もいれば、今ある仕事を丁寧に続けることに誇りを持っている人もいます。

全員が同じ考え方で、同じように働く必要はありません。

それぞれの違いを認め合い、得意なことを活かし、困ったときには助け合う。

自分の考えを話せる。分からないことを相談できる。仲間と一緒に仕事をすることが楽しい。

そんな職場なら、一人ひとりが自分らしく力を発揮しやすくなるのではないでしょうか。

会社を経営するうえでは、売上や利益、仕事の効率も大切です。

でも、そこで働く人たちが、お互いを認め合い、自分らしく働けることも、同じように大切だと思います。

社長も社員も、一人ひとり違う人間です。

だからこそ、違いをなくすのではなく、違いを認め合いながら、一緒に働いていく。

お互いをリスペクトし合える職場。そこには、働くことの楽しさがあり、自然と笑顔が集まっていく。

私は、そんな職場を増やしていきたいと思っています。

社長も社員も、お互いをリスペクトできる職場って、いいと思いませんか。

次回も、笑顔あふれる職場づくりについて考えていきたいと思います。

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