【組織づくりの処方箋 第8回】「家族に誇れる仕事」が、社員の定着とエンゲージメントを高める理由

前回の記事では、お互いをリスペクトし合える職場について考えました。

リスペクトとは、相手を一人の人間として認め、その人の考えや経験、価値観を尊重することです。

そして、もう一つ大切なことがあります。

相手をリスペクトするということは、その人が日々取り組んでいる仕事の価値を認めることでもあるということです。

社長や上司から見ると、社員が毎日行っている仕事は、当たり前のことかもしれません。

しかし、その仕事が誰かを支え、会社を動かし、社会の役に立っているとしたら、どうでしょうか。

今回は、社員一人ひとりが自分の仕事に誇りを持つことについて考えてみたいと思います。

「会社でなんの仕事をしているの?」

子どもや家族、友人から、そんな質問をされたとき、社員は自分の仕事をどのように説明しているでしょうか。

「会社のシステムを管理しているんだよ」

「書類を作ったり、事務の仕事をしたりしているんだよ」

もちろん、それは間違いではありません。

でも、仕事の内容を説明しているだけで、その仕事が誰の役に立っているのか、何を支えているのかまでは伝わっていないかもしれません。

実は、私自身も会社員だった頃、自分の仕事をうまく説明できませんでした。

「会社のシステムの……みんなのパソコンの……」

どうにも、かっこよく言えないんですよね(笑)。

でも、今振り返ると、これは仕事に対する誇りを考えるうえで、大切なことだったと思います。

目立つ仕事だけが、価値のある仕事ではない

大きな橋や道路をつくっている人なら、「大きな橋をつくっているんだよ」と説明できます。

聞いた人も、その仕事の大きさや役割をイメージしやすいでしょう。

一方で、総務や経理、システム管理、設備の点検や維持管理など、いわゆる裏方の仕事はどうでしょうか。

毎日の仕事は、書類の作成、データの確認、問い合わせへの対応、設備の点検など、一つひとつを見ると地味なものかもしれません。

しかし、その仕事がなければ、現場の仕事が止まってしまうこともあります。

必要な情報が届かなければ、正しい判断ができない。設備が使えなければ、仕事を進められない。困ったときに相談できる人がいなければ、現場は不安を抱えたまま仕事をすることになります。

表に出る仕事だけで、会社が成り立っているわけではありません。

誰かの仕事を支え、会社全体が動くために欠かせない仕事があります。

目立つかどうかと、仕事の価値があるかどうかは別なのです。

自分の仕事が、誰の役に立っているか

仕事への誇りを考えるとき、一つの手がかりになるのが、「自分の仕事が誰にどのような影響を与えているか」という視点です。

例えば、高速道路の管理に関わる仕事なら、単に道路の点検や管理データを整理しているだけではありません。

その先には、道路を利用する人たちがいます。

安全に走れる道路を維持することは、利用者が無事に目的地へ到着し、家族のもとへ帰ることにもつながっています。

総務やバックオフィスの仕事も同じです。

備品を手配したり、必要な手続きを進めたりすることは、現場の社員が安心して仕事に取り組める環境を整えることにつながっています。

システム管理の仕事なら、システムを止めないことだけが目的ではありません。そのシステムを使う社員が、安心して本来の仕事に集中できるようにすることが、その先にあります。

このように、仕事の内容を説明するだけでなく、その仕事によって誰が助かっているのか、何が実現できているのかを考えてみる。

すると、普段は当たり前だと思っていた仕事にも、違った意味が見えてきます。

仕事の意味を、言葉にしてみる

では、社員が自分の仕事の価値に気づくためには、どうすればよいのでしょうか。

一つの方法として、自分の仕事を、子どもや家族にも伝わる言葉に置き換えてみることをおすすめします。

例えば、こんな具合です。

高速道路の管理部門

「道路の点検や管理データを整理している」

↓

「みんなが安心してドライブできるように、道路の安全を守っている」

総務・バックオフィス

「社内の備品を手配したり、書類を作ったりしている」

↓

「社員のみんなが、気持ちよく仕事ができるように会社の環境を整えている」

システム管理

「パソコンや社内システムの管理をしている」

↓

「会社のみんなが困らずに仕事ができるように、ITの面から支えている」

大切なのは、仕事を格好よく言い換えることではありません。

自分の仕事の先にいる人や、その仕事が支えているものを見つけることです。

普段は作業の一つとしてこなしている仕事も、誰のために、何のために行っているのかを考えると、見え方が変わることがあります。

社員に仕事の誇りを持ってもらうために

ここで、社長や管理職の方にも考えていただきたいことがあります。

社員は、自分の仕事が会社や社会にどのように役立っているかを実感できているでしょうか。

例えば、現場の仕事を支えている社員に対して、「いつもありがとう」と伝えるだけでなく、その仕事がどれだけ助かっているのか、具体的に伝えているでしょうか。

社員が行っている仕事の成果は、目に見えるものばかりではありません。

トラブルが起きなかった。仕事が滞りなく進んだ。誰かが困る前に対応できた。

こうした仕事は、何も起きなかったことが成果であるため、周囲から気づかれにくいものです。

だからこそ、会社や上司が、その仕事の意味や役割を理解し、言葉にして伝えることが大切です。

また、社員自身が仕事の意味を考えたり、仕事の進め方を工夫したりできる機会をつくることも必要です。

ただ「自分の仕事に誇りを持ちなさい」と伝えるだけでは、誇りは生まれません。

自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できること。そして、その仕事を周囲から認めてもらえること。

そうした経験の積み重ねが、仕事への誇りにつながっていくのだと思います。

仕事の価値を、もう一度見つめてみませんか?

会社には、さまざまな仕事があります。

お客様と直接接する仕事もあれば、社内で仲間を支える仕事もあります。目に見える成果を生み出す仕事もあれば、何事もなく仕事が進むように支える仕事もあります。

どれか一つが欠けても、会社はうまく回らないかもしれません。

社員一人ひとりが、自分の仕事の意味を知り、その仕事が誰かの役に立っていると感じられる。

そして、社長や仲間も、その仕事の価値を認めている。

そんな職場では、自分の仕事に誇りを持ち、前向きに働ける人が増えていくのではないでしょうか。

社長も、社員も、一度考えてみませんか。

「自分の仕事を、子どもに自慢できますか?」

もし、うまく説明できなかったとしても、仕事に価値がないわけではありません。

まだ、その仕事の本当の意味を言葉にできていないだけかもしれません。

目立たない仕事にも、誰かを支え、会社や社会を動かしている大切な役割があります。

office HOMIは、働く人一人ひとりが自分の仕事の価値を実感し、誇りを持って働ける職場づくりをお手伝いします。

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